【Google Cloud】「AI開発=Python」で損していませんか?Cloud Runのコストを下げる言語選定のポイント

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五右衛門

社内向けの生成AIアプリを Cloud Run で動かしてみたものの、

  • 「思ったより Cloud Run の請求額が高い」
  • 「LLM API を組み込んだらインフラ費用が跳ね上がった」

と感じている情シス・開発リーダーの方は多いのではないでしょうか。

Cloud Runのコストが高くて頭を抱えている人

インフラ構成そのものに問題があるケースもありますが、「どの言語で、どんな実行モデルを採用しているか」がコストに効いていることも少なくありません。

この記事では、生成AI機能を含む業務アプリを想定しながら、

  • なぜ言語と設計でCloud Runのコストが変わるのか
  • Python/Node.js/Bun/Go/Rust をどう役割分担するとよいか

をコンパクトに解説します。


なぜ「言語」を変えるだけでコストが変わるのか

Cloud Runの料金は簡略化すると、

CPU・メモリの利用時間 × リクエスト数

で決まります。

生成AIアプリの特徴は、LLM や外部APIの応答待ちで「数秒〜数十秒」の待ち時間が発生することです。

このとき、コストに直結するのが「同時実行数」の効率です。

 A. 待っている間、インスタンスが「何もできない」まま課金され続ける
 B. 待ち時間中に、同じインスタンスが「別のリクエスト」を並行してさばける

Bの状態を作れれば、必要なインスタンス数が減り、リソース利用時間も圧縮できます。

ここで、言語ごとの「並行処理のメモリ効率」や「ランタイムの起動速度」といった特性がコスト差となって表れるのです。


主要言語の運用コスト効率比較(生成AIアプリの観点)

言語 コスト効率(目安) 特性と向いている役割
Python モデル学習・推論ロジックに最適。ライブラリが豊富で検証しやすい一方、ランタイムはやや重め。同期構成だと Cloud Run 上で大量並行処理には不利。
Node.js 中〜高 Web/BFF の定番。非同期I/Oが標準で、外部API待ちの多い処理と相性が良い。フロントと同じ言語で揃えやすい。
Bun (TS) Node互換で起動が速いランタイム。コールドスタートを抑えやすく、APIオーケストレーション層で高いコスト効率が期待できる。問題があれば Node.js に切り替えやすいのも利点。
Go / Rust 高〜最高 高負荷バックエンド向け。シングルバイナリで軽量・高スループット。秒間数千リクエスト規模やリアルタイム処理の基盤に向く。

※実際のコストはワークロードと設計次第ですが、「どこにどの言語を置くか」を考える際の目安になります。


コストを下げるための「役割分担」の考え方

1. APIオーケストレーション層:Bun/Node.js(TypeScript)

Gemini や社内API・DBをつなぎ、フロントにレスポンスを返す層です。
ここは非同期I/Oでの同時処理効率が重要なため、

  • TypeScript + Bun(または Node.js)

を使うと、Cloud Run のインスタンス数を抑えやすくなります。
Bun を採用しつつ、必要に応じてランタイムを Node.js に切り替えられるようにしておくと、安定性とチャレンジのバランスが取りやすくなります。

2. 独自モデル推論・データ処理層:Python

独自モデルの推論や前処理・後処理、データ分析など、ライブラリ依存度の高い処理はPythonが第一候補です。

  • FastAPI などのモダンなフレームワークで非同期I/Oを活用する
  • Cloud Run のメモリ・CPU割り当てをチューニングする
  • 必要に応じて「Startup CPU Boost」や最小インスタンス数を設定し、コールドスタートを抑える

といった工夫で、「開発しやすさ」と「運用コスト」のバランスを取ります。

3. 超高負荷・リアルタイム処理:Go/Rust

  • 秒間数千リクエストクラスのAPI
  • レイテンシがシビアな基盤処理

などは、Go/Rust と相性が良い領域です。
ここをコンパイル言語で固めておくと、長期的なインフラコストと安定性の両方でメリットを出しやすくなります。

インフラコストと安定性の両方でメリットを


まとめ:まずは「今どのレイヤを何で書いているか」を見直す

生成AIアプリでは、LLM API 待ち時間をどう扱うかが Cloud Runのコストに直結します。

すべてを Pythonで作るのではなく、

  • APIオーケストレーション:TypeScript(Bun/Node.js)
  • 推論・データ処理:Python
  • 高負荷基盤:Go/Rust

といった形で役割ごとに言語を分けることで、コストとパフォーマンスを両立しやすくなります。

すでに Cloud Run 上で Python 中心の構成になっている場合は、まず

  • どの処理が「外部API待ち」で時間を使っているか
  • どこを TypeScript や Go に切り出すと同時処理効率を上げられるか

といった観点で現状を棚卸ししてみてください。
そのうえで、次のプロジェクトでは「言語と役割の分け方」も設計の一部として検討していくと、インフラコストの最適化に一歩近づけます。

自社システムの状況に合わせた構成の見直しや、Cloud Run コストの具体的な削減シナリオを検討したい場合は、ぜひ弊社までご相談ください。現状のアーキテクチャを踏まえたうえで、最適な構成と運用方法をご提案いたします。

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記事を書いた人

五右衛門

BI事業部所属。2023年新卒。 「また、つまらぬバグを斬ってしまった…」 天下の大泥棒ならぬ、天下のフルスタックエンジニア。 絡み合ったスパゲッティコードを愛刀(メカニカルキーボード)で一刀両断し、炎上案件という名の「釜茹で」も涼しい顔で乗り越える。 レガシーシステムを華麗にリファクタリングする、令和の仕事人。

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